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第43便 原発避難児童とお寺合宿

復興
復興

概要

日時:2011年11月18~20日
場所:福島県会津若松市~神奈川県鎌倉市 光明寺
主催:NPO法人鎌倉てらこや
後援:鎌倉市教育委員会
協力:大本山光明寺
鎌倉ひまわりの会
NPO法人全国てらこやネットワーク

参加者:福島県大熊町の子ども1名
宮城県から自主避難中の子ども1名
鎌倉の子ども15名
スタッフ:大学生58名(見学者含む)、大人8名

<プロローグ>

「また、あの子たちと遊びたいな」
とある大学生の一言で、鎌倉てらこやが毎年開催している「光明寺」合宿に福島県大熊町の子どもたちを招待することになりました。
2011年6月3~5日の期間、鎌倉の建長寺にて行われた「第5回てらネット合宿」(こちらを参照① 参照②)に参加してくれた子どもたちに、一軒一軒電話をしてお誘いしました。
やはり、その当時とは環境が変わっていて、全ての家庭が2次避難所の東山温泉を出て、借り上げのアパートや、仮設住宅に移り住んでいました。中には、会津若松を離れ、いわき市に引越しをしている家庭もあり、以前のような「まとまり」は感じられなくなっていました。
それでも、こちらから電話をすると、「おお、久しぶり!今度も行きたい!!」と嬉しそうな声で応えてくれる子どもたちや、保護者からお礼の言葉を頂き、「6月に一緒に合宿した思い出が、こんなにも子どもたちの中に残っているんだな」と思い、とても嬉しくなりました。
結局、今回は小学2から中学3年までの11人の子どもたちが参加してくれることとなりました。

<お迎え>

前回と同様、子どもたちを貸切バスで迎えに行きました。
引率のメンバーは、おなじみの「きつね」「えんちゃん」「しんちゃん」に、新入りの「ももんが」でした。事前に大熊町の教育委員会、小学校に電話でお願いをして、バスは子どもたちの通う旧河東第三小学校(この中に大熊町立の2つの小学校が併設)で待機させてもらいました。下校時に子どもたちを直接バスに乗せてそのまま鎌倉へと向かうためでした。
待機している時、今回の合宿には参加しないけど、1次避難所の田村市春山小学校( こちらを参照)や2次避難所の東山温泉(参照)で一緒に遊んだ子どもたちとも再会することができ、照れながらも、お互い嬉しくなりました。
そうしている内に、今回参加する子どもたちが全員揃い、お見送りに来ていた保護者に挨拶をして、バスが出発しました。
バスの中では、何でもないおしゃべりをしたり、ゲームをしたり、歌を歌ったり、恋ばな(小学生の!)をしたり、と大いに盛り上がりました。約6時間の移動中、車内が消灯することはありませんでした。いつも元気な子どもたちからは、元気を「もらうと同時に奪われる」という不思議な感覚を覚えさせられました。
今回は、ひとつの新しい試みを加えました。この合宿を引っ張る学生リーダーたちから、子どもたちへのメッセージを「ビデオレター」にして、バス車内で放映したのです。その時の子どもたちのリアクションは、あまりにも率直なものであったため、ここでは紹介できませんが、合宿に向けてテンションが上がったことは間違いありません。
21時30分頃、鎌倉光明寺に到着し、この日はお風呂に入ってすぐ就寝となるはずでした。
しかし、子どもたちのワクワクが止まらず、明日「○○来る?」「○○と同じ班?」「何するの?」といった話で盛り上がったり、元気あまって男の子同士けんかをしてしまったり、と中々落ち着きませんでした。学生の付き添いメンバーがお寺の怖い話をしたり、いろんな工夫をしてくれたお陰で、何とか子どもたちを寝かしつけることができました。

<翌朝~合宿本番>

この日から、地元鎌倉の子どもたちも参加して、合宿の本番スタートとなります。前泊をしていた大熊町の子どもたちは、他の子どもたちや、学生たちの到着が待ち遠しい様子で、お寺の静かな朝を過ごしていました。
合宿本番のレポートはこちらをご覧下さい。

<見送り>

大熊町の子どもたちは、翌日学校があるため早く帰宅せねばならず、長い移動時間を考慮して、一足先に解散となりました。バスに乗り込み、出発する時、鎌倉の子どもたちや学生たちが全員総出で見送りをしてくれました。名残惜しい気持ちは隠しきれませんでしたが、再会を約束して帰路につきました。
見送りのメンバーは、おなじみの「えんちゃん」「しんちゃん」「ももんが」に新入りの「だいゆう」でした。来た時と同様に、おしゃべりや、ゲーム(伝言ゲームなど皆で楽しめるもの)、アカペラカラオケで大盛り上がりでしたが、帰りは学生にとってふたつの試練がありました。「一発ギャグコンテスト」と「何でもランキング(かっこいい人、かっこ悪い人のベスト3を選ぶなど…)」というゲームが突発的に生まれ、学生は体を張ってバスを盛り上げたり、子どもたちの素直過ぎる人間観察の審判を耐えてくれました。
そうこうしている内に、帰りもあっという間に目的地に到着しました。仮設住宅や役場の前で保護者に子どもたちを引き渡し、合宿全てのプログラムが終了となりました。

保護者に見送られて出発!

盛り上がるバスの中!

SAも楽しみのひとつ!

ビデオレターはどうだったかな?

ワクワクして眠れないよ!

朝食!皆早く来ないかな~

鎌倉の子どもたち、学生たちと一緒に集合写真!!

仲良くなった皆に見送られて

<最後に>

今回、5ヶ月ぶりに大熊町の子どもたちを鎌倉に招待しましたが、久しぶりとは思えないほど子どもたちとの関係が近く感じました。前回の合宿で一緒に思いっきり楽しんだことが、大きなきっかけになっていたのだと思います。前回の目標が「一生忘れられない思い出と仲間をつくる」ことでしたので、とても嬉しい光景でした。また、会津てらこや主催する会津若松での活動に関東の学生が参加し、間を繋げていたことも大きかったように思います。震災がきっかけで出会った子どもたちですが、てらこやの子どもたちと同様に、共に思いっきり遊んだり、学んだりする「てらこやメイト」になっています。これからも機会を作って、大熊町の子どもたちとの関係を深めていきたいと思います。
この事業を開催するにあたり、多くの方々のご厚意を頂きました。これまでイベントの際に頂いた募金も本事業にて活用させて頂きました。2011年9月には、「てらこや」の復興支援活動を支えるために「鎌倉ひまわりの会」というボランティア団体が地域の有志により立ち上げられました。隔月でバザーを開催して活動支援金を集めて下さっています。その他、鎌倉市内の寺社からも本活動のための寄付金を頂きました。このように支えて下さる方々あってこそ、我々の活動が成り立っております。皆様、誠にありがとうございました。最後になりましたが、今回この事業を快く受け入れて下さった光明寺さんに心からの御礼を申し上げます。

NPO法人全国てらこやネットワーク
専務理事 上江洲慎