第33便 岩手県釜石市 瓦礫撤去
復興概要
日時:平成23年7月20日(水)
行先:岩手県釜石市
受入先:北上JC・釜石ボランティアセンター
参加者:田村純也・足立秀樹・東海林大・矢野覚・矢野旦
作業内容:瓦礫撤去
※今回の報告書は高校2年生の矢野旦君によるものです。
<忘れられない臭いと光景>
現地に着いた時のあの泥に匂いが忘れられません。自分の前後左右に広がる光景は壮絶です。僕がボランティアとして伺ったのは岩手県の釜石市です。たった一日の活動で、その日のうちに鎌倉に帰るという日程でしたが、重く、長い時間だったように思われます。
僕のボランティアの活動は、四階建てのビルの箪笥やベット、机などを運び出す作業、そして、一階部分の泥をかき出す作業でした。単純なたった一軒のビルの仕事のようで、そこには目に見える以外のいろいろな世界が広がっていました。ビルの中には、本来その家の持ち主の物では無い物もあるようでした。持ち主のわからない「たまごっち」が階段に落ちている、それを拾う時の僕の寂しさ、むなしさは、言葉以上の言葉では、表現できない気持ち、今までにはない感情を僕に刻み付けました。床にはステックシュガーが散らばっていて、震災のほんの直前、一秒前まで普通の生活をされていたことを思い知らされました。
<だんだん広がる静かな衝撃>
ボランティアを一通り終え、疋田さんと父に大槌町に連れて行ったもらいました。何もなかった。かろうじて残っている住居や店舗がありましたが、存在を確立しているというものでは全くなく、それは何もないという言葉にまとめてしまえるものでした。活動をさせてもらった釜石市はかろうじて人の気配がしましたが、大槌町は怖い、怖いぐらい何もなかった。なにも感じることが出来なかったです。今思えば、何も感じる事が出来ないように、気持ちがガードされていたのだと思います。静かな衝撃がだんだん僕の中に広がっていく震災ボランティアでした。
<自然の驚異と日常>
自然の驚異なんて言葉は、人間の想像できる範囲の驚異でしかないんだと知りました。僕たちは、毎日、毎日、家族も好きな人も生活もなにもかも飲み込んでしまう自然の驚異の中で生きているんだと知りました。だから、僕らは、日々を大切にするんだ、本当はみんな大人も子供も知っているんだ、一日一日が大事なんだということを。でも、知っているけれど、日々の生活のなかで、それが埋もれてしまっている。東北の震災で、改めて、日本という国土に生きている意味、昔からの文献、日々のしつけを改めて思い起こしました。すべて、自然の驚異に基づいていると思いました。
<東北への想い>
僕は、今後の東北を知りたいです。どのように日本人が東北を蘇らせるのか、今まで以上の東北にすることが出来るのか、二万人以上の多くの心ならずも亡くなってしまった人たちの無念を想い、どうやって、あの地に心からの笑顔を取り戻す事が出来るのか、僕は知りたいです。
僕はみんなに東北に行ってもらいたいです。知ってほしいです。必ず蘇るだろう東北の今の姿を知ってもらいたいです。今回は、終業式を休んでボランティアに参加しました。また時間を見つけていきたいです。
<明日から…>
僕は明日から、高校の陸上部の地獄の合宿に行きます。今までの、気持ちとまったく違います。僕は何のために気持ちと体を鍛えなくてはいけないのかを知りました。いってきます。
僕を参加させてくださった「てらこや」の皆様、車で夜中の間中運転してくださった、東海林さん、田村さん、足立さん(僕のせいで車中でたばこが吸えなくてすみませんでした)、釜石で僕にいろいろアドバイスを下さった、ボランティアセンターの皆様、ありがとうございました。
法政大学第二高等学校二年 矢野旦