第1便 支援活動(福島県田村市)活動報告
復興<福島県田村市に支援物資をお届けしました>
皆さまからお預かりした支援物資は、3月23日正午頃、福島県田村市の市役所にしっかりとお届けいたしました。
市役所では、(社)田村青年会議所のメンバーが出迎えて下さり、
ボランティアの方と一緒に荷降ろしをして頂きました。
田村青年会議所の佐久間理事長に、 「現在、一日に300枚のオムツが使用されています。このような生活衛生用品のご提供に感謝します」
とのお言葉を頂きました。
<田村市の現状>
田村市の橋本隆憲副市長によると、
「現在、市の問題の9割以上は、原発関連です」
とのことでした。
地震による被害はほとんどなく、
最大8000名いた避難者は、
ほとんどすべて原発避難区域の住民だということです。
(現在は、2600名、市の人口は41,000名)
退所された方々は、お子さんや、親族を頼ってそれぞれ出られたそうです。
行き先は、東京、千葉、栃木、新潟、県内…様々のようです。
「田村市民のほとんど自宅で生活していますが、
物が不足して困っている」
と田村青年会議所のメンバーが話してくれました。
その原因は、一つが「原発の影響」、もうひとつは「ガソリン不足」
ということでした。
田村市は、旧5町村が合併してできた自治体ですが、
その中の一部地域が、原発から30キロの区域に含まれているため、
「放射能の影響がでるのではないか」との風評がまわり、
流通業者がそれを恐れて入ってこないという事態が起こり、
コンビニやスーパーでは品薄が続いている、とのことです。
「郡山までは物が届いているが、
それを取りにいきたくてもガソリンが不足して運搬手段が確保できない」
「地震で被害は受けていないのに、このままでは疲弊してしまう」という不安が市民を襲っています。
<避難所(春山小学校)の様子>
市内に10ある避難所のひとつ、春山小学校を訪ねました。
春山小学校では、390名の避難者が生活していました。
避難所には大熊町(福島第一原発の所在地)からの避難者が多く、
ここの責任者は、大熊町の職員が務めていました。
その方から、
「入所して数日後に自治会を立ち上げ、
役割分担をして、避難所の生活を共同で営んでいる」という話を聞きました。
私たちが訪れた時、ちょうど「班長会議」が行われていました。
子どもが集える場所を設営するなど、様々な工夫をしているようです。
<いわき市の様子>
津波被害の大きかったいわき市を視察しました。
津波に襲われていない郊外を車で走りましたが、
大通りぞいにならぶ大型店の営業はほぼゼロで、
通行人もほとんどいない状況でした。
沿岸部に近付き、津波被害の現場をみた時は、
言葉を失い、胸をつまらせました。
いわき市も、津波被害や原発の影響(市内の一部地域が30キロ圏内に入っているだけ)で、
食料品などの物資が届いていない様子で、
配給をしている公民館には多くの市民が集まっていました。
いわき市の一日も早い復興を心から願います。
<福島県田村市から神奈川県藤沢へ>
田村市への支援活動を知った方から依頼があり、
春山小学校で避難生活を送っていた70歳になられる女性を、
神奈川県藤沢市に住むお子さんのもとへ、お送りいたしました。
その方は、大熊町在住で、津波の被害からは逃れたものの、
原発事故に伴う、退避命令により、田村市で避難生活を送っていたそうです。
田村市から藤沢市まで移動する5時間半もの間、
地震、津波、避難、原発に対する思いをお話して下さいました。
この方のお話を今後の支援活動にしっかり役立てていきたいと思います。
<最後に…>
このレポートは、私どもがたったの二日間で目にしたもの、聞いたことの報告であり、
被災地全般についての事実をお伝えするものではありません。
地域によって、避難所によって、避難している人によって、状況は様々であり、
その状況も刻一刻と変化します。
したがって、支援のあり方は多様でありえますし、
支援の内容だけでなく、タイミングも大切だと思います。
月並みな結論で恐縮ですが、
重要なことは、被災地とその周辺地域の方々が何を求めているのか、
というニーズの把握を、なるべく具体的に行うことであり、
それに対して、自分が出来ることをしっかりと見定めて実行することだと思います。
たとえば、「ガソリン不足」という課題を一個人が解決することはできませんが、
「ガソリン不足によって滞っている作業の一部を代替する」ことは可能です。
また、「風評」をひっくり返すことは困難ですが、
風評に惑わされず、相手の求めに応じることは可能です。
今回の震災の被害の壮絶さを前に、無力感にさいなまれそうになることもありますが、
「被災地のため」、「被災者のため」、という全体ばかりを意識するのではなく、
(もちろん、それも大事ですが…)
「ひとつの地域のため」「誰かひとりのため」に、自分たちに出来ることをやる!
という姿勢で今後も支援活動を続けていきたいと思います。
今回は、直接の物資支援だけでなく、「やるべきこと」「できること」をみつける上で、貴重な活動になりました。
今回お世話になりました、皆さまに心から御礼申し上げると共に、
今後ともご協力賜りますよう、お願い申し上げます。
最後になりましたが、今回被災されたすべての方々に心より、お見舞い、お悔やみ申し上げます。
NPO法人全国てらこやネットワーク
専務理事
上江洲 慎(うえず しん)